旭化成㈱

旭化成㈱

旭化成グループの全従業員デジタル人材化に向けたeラーニングシステムの設計をご担当のデジタル共創本部の皆様に、人材の育成方針やマーケティング検定eラーニング講座導入の経緯についてお話をお伺いしました。

INTERVIEW
 
 
石川 栄一さん
デジタル共創本部
CXトランスフォーメーション推進センター
センター長

 
 
 

 

 

 

 
 
角 正剛さん
デジタル共創本部
C Xトランスフォーメーション推進センター
C X企画戦略部
部長
 
 
 

 

 

 
 
吉田 健一さん
デジタル共創本部
C Xトランスフォーメーション推進センター
C X企画戦略部人財開発グループ
グループ長

 

 

 

 

 
 
山﨑 篤史さん
デジタル共創本部
C Xトランスフォーメーション推進センター
C Xシステム推進部Webマーケティンググループ
グループ長
 
 
 
 
 
 

 

 

旭化成グループについて教えてください。

 

石川さん:当社は1922年に滋賀県膳所町(現大津市)でレーヨンの製造を開始し、その翌年に宮崎県延岡市でも合成アンモニアの製造を始めました。これが当社の起源です。創業者の想いである「人びとがよりよい生活を実現できるよう、最も良い生活資材を、豊富に低価格で提供すること」という精神は世界に拠点が拡大された今でも脈々と引き継がれており「世界の人びとの “いのち” と “くらし” に貢献する」というミッションのもと生活に密着した事業を展開しています。
当社の事業領域は、「マテリアル領域」「住宅領域」「ヘルスケア領域」の3つになります。「マテリアル領域」ではユニークな繊維素材、樹脂などの石化製品の原料となる基礎化学品から環境にやさしい高機能素材、「住宅領域」ではヘーベルハウスや分譲マンションのATLAS(アトラス)、「ヘルスケア領域」では医療用医薬品や血液透析膜、などが主な製品になります。2000年代以降はグローバル化を加速させ、グループ全体の売上に占める海外比率が高まっています。

 

デジタル共創本部の役割について教えてください。

 

石川さん:デジタル共創本部は、ビジネスをデジタルの力で高度化することを目的として2021年に発足しました。当本部はデジタルを通じた共創によってグループ横断的に事業変革を推進するためバリューチェーンごとのセンターに分かれているのが特徴です。具体的には「IT統括部」「DX経営推進センター」「インフォマティクス推進センター」「スマートファクトリー推進センター」「CXトランスフォーメーション推進センター」の5つで構成されています(図1)。

 

(図1) デジタル共創本部の組織図

 

私たちの所属する「CXトランスフォーメーション推進センター」は、営業・マーケティング経験者やIT技術者、データサイエンティストなど様々なバックグラウンドを持ったメンバーで構成された新設組織です。営業やマーケティングに関わる情報を一元的に扱うプラットフォームの構築から、SFA、BI、MA、Webサイトなど、様々なツールのカスタマイズ、更に分析技術の活用により市場の変化や顧客ニーズをとらえ、事業部門と一体となって改革を推進しているところです。

 

貴社は創業100周年を迎えた2022年に「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~」を発表されました。2024年に「4万人のデジタル人材化」の達成を目標に掲げられています。

 

石川さん:私たちは、デジタル変革ロードマップとしてDXを4つのフェーズに設定しています(図2)。技術導入により現場の課題を解決する「デジタル導入期(2016~2019年度)」、その取り組みをバリューチェーン全体、事業・経営全体に拡大する「デジタル展開期(2020~2021年度)」、そして現在は「デジタル創造期(2022~2023年度)」とし、デジタル技術の活用により無形資産の価値化や新たなビジネスモデル・事業の創造を進めています。

 

(図2)旭化成のデジタル変革のロードマップ

 

 

引用)旭化成株式会社資料「旭化成における「デジタル×共創」によるビジネス変革」

 

更に2024年からは「デジタルノーマル期」として、海外も含めた全従業員がデジタルを当たり前に使いこなせるマインドセットで働く「4万人デジタル人材化」を目標に掲げています。また各事業部に高度な専門的知識を持つ「デジタルプロ人材」を2021年度の10倍にあたる2,500名育成することを目指しています。
カリキュラムと殆どのコンテンツを内製で構築したeラーニングシステムを展開し、デジタル人材の育成に取り組んでいます。eラーニングでは、レベル1~5の5段階に分けたコンテンツを用意し各段階を受講修了するとオープンバッジ*がそれぞれ付与される仕組みです(図3)。

 *オープンバッジ:世界的な技術標準規格「IMS Global Learning Consortium」に準拠し発行されるデジタル証明・認証。

 

(図3) eラーニングシステムの各レベルとオープンバッジ

 引用)旭化成株式会社資料「旭化成における「デジタル×共創」によるビジネス変革」

 

吉田さん:オープンバッジを付与することで各人のスキルが見える化できるため、学習意欲を高める効果があると考えております。レベル1~3までのオープンバッジ取得者をデジタル活用人材、レベル4以上のオープンバッジ取得者をデジタルプロ人材と位置付けています。オープンバッジ開始から約1年半が経った現在、既に約5,000名がデジタルマーケティングコースのレベル3を受講しています(2023年5月31日現在)。デジタルマーケティング以外にも様々なコース※を用意しており、全コースのうち何れかのコースでレベル3を取得した従業員の割合は約50%に達しています。(※レベル1はAI入門やIoT、アジャイル、ガレージの4コース。レベル2はデジタルマーケティングを含めた5コース、レベル3はプログラミングなどの9コース)

2023年2月に開講したデジタルマーケティングコースのレベル4では、日本マーケティング協会のマーケティング講座を活用させていただいており、受講者から『体系立てて幅広い基礎的な知識を知ることができた』『顧客へのアプローチ手段や戦略立案に際して、今回学んだマーケティングの基礎知識を活かせると感じる』といったように好評を得ています。また現在準備中のレベル5では、実務に基づいた戦略立案やオペレーションを学ぶ内容となっています。

 

石川さんデジタル変革の成功要因として、人材とデータ、組織風土の3つの要素があると考えています。eラーニングシステムの構築は、横断組織であるデジタル共創本部が事業部を跨いで行う全社的な取り組みの一つですが、その推進には全従業員のデジタル活用意識の向上が欠かせません。2024年の「4万人デジタル人材化」の達成に向けてオープンバッジを取得した従業員の声や社長の受講した感想を社内ポータルサイトに掲載したりして会社全体でデジタルの活用意識を醸成する工夫を行っているところです。

 

今回デジタルプロ人材向けのレベル4(Expert)の「デジタルマーケティング」の分野の教材の一部に当協会のマーケティング検定eラーニング講座をご導入いただきました。デジタルプロ人材の育成に当協会のマーケティング理論の講座を導入されたのはどのような狙いでしょうか。

 

石川さんデジタルマーケティングを理解するには、マーケティング理論の基礎知識が必要不可欠と考えているためです。マーケティング理論の基礎知識を抜きにしてデジタルだけを学ぶということは、単に手法だけを洗練することになりかねません。デジタルプロ人材とは、ベースとなるマーケティングを理解していて、それを踏まえてデジタルを活用したプロモーションや顧客との関係性を強化できる表面的ではなく本質的なデジタルマーケティングを展開できる存在なのです。

 

吉田さんレベル4の準備に際し、体系的にマーケティング理論を解説しているコンテンツを活用するのが有効ではないかといった結論に達しました。それは、レベル3の開講から数ヶ月という非常に短期間で準備する必要があったことと、更にレベル4、5を同時に設計しなければならなかったためです。そこでレベル4にふさわしいマーケティング理論のコンテンツを探すべく様々な企業が提供しているeラーニング講座を拝見しました。その結果、日本マーケティング協会のマーケティング検定eラーニング講座が最も体系的に学習できる理想的なコンテンツだと判断し導入することに決定しました。

 

山崎さんレベル4では実務に活用できるマーケティング知識全般を習得することを目指しています。前半に日本マーケティング協会のeラーニングで基礎的なマーケティング理論、後半でデジタルに関する知識を学習する構成としています。一方レベル5では、戦略立案やマーケティングオペレーションをオンライン形式の講義とeラーニングを組み合わせて学ぶ内容となっており、現在の実務を題材とした課題を提出する必要があります。

 

実際にデジタルマーケティングの分野や当協会のマーケティング検定eラーニング講座を受講された皆様の反響はいかがでしょうか。

 

角さん受講者アンケートによると、『マーケティング理論を体系立てて幅広く学習することができた』『マーケティングを学習したうえでデジタルマーケティング講座を受講したので、デジタルに対する抵抗感が下がり理解が深まった』といった声が多数挙げられていました。これは、まさに期待通りの反響だったと思います。

 

最後に日本マーケティング協会やマーケティング検定に期待することについて教えてください。

 

石川さん日本マーケティング協会はマーケティングをテーマとして異業種企業が集う日本有数の公益法人だと思います。ぜひ同業種あるいは異業種が双方に交流し、刺激し合う場をご提供いただきたいと思います。またデジタルマーケティングに加えて、BtoBマーケティングの発展に寄与されることを大いに期待しています。

それからマーケティング検定は「マーケティングの共通言語を理解している証」であり、合格者はそのことを対外的に示せるのではないでしょうか。マーケティング検定によってマーケティング理論の基礎知識を備えた人材の裾野が広がることを切に願っています。

 

 
以下、旭化成株式会社の詳細情報

旭化成株式会社コーポレートサイト:

https://www.asahi-kasei.com/jp/

社名
旭化成株式会社

代表者
代表取締役社長 兼 社長執行役員  工藤 幸四郎

従業員数(連結)
48,897人

事業概要
ケミカル、生活製品、繊維、エレクトロニクス、医薬品、医療機器、住宅、建材

2023年3月31日現在
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