㈱博報堂

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今回は、公益社団法人 日本マーケティング協会主催のマーケティング検定を新入社員教育に導入している株式会社博報堂(以下、博報堂)で人材開発を担当する引地陸さん、村尾洋介さんにお話を伺いました。

 INERVIEW
 
 
引地陸さん
株式会社博報堂
人材開発戦略局
グループマネージャー
(スタッフの人材開発を担当)

 

 

 
 
村尾洋介さん
株式会社博報堂
人材開発戦略局
マネジメントプラニングディレクター
(スタッフの人材開発を担当)
 
 
 
 

 

導入の目的
スタッフ部門の新入社員にマーケティングの基礎知識を身に付けてもらう


実際の効果
・Eラーニング講座で効率よくマーケティングの知識が身に付いた
・新入社員が成功体験を得ることができた
・検定という形で能力の可視化につながった

 

博報堂の事業内容について教えてください。

 

引地さん:博報堂は長年にわたり、広告会社としてクライアント企業のビジネス支援を行ってきました。近年では従来の広告の領域を超え、経営・事業から社会イシューまでの幅広い領域において、クライアントの多様な課題に応える統合マーケティング・ソリューションを提供しています。


社内の組織や人材は、大きく3つの機能に分かれています。

ビジネスデザイン機能:クライアントと直接向き合い、業務設計し、企画進行する。
スタッフ機能:クリエイティブ職やストラテジックプラニング職、PR職など、企画・制作を行う。
本社機能:経理や人事・人材開発、法務、システムなどの本社機能を担う。

社員はそれぞれの分野でプロ意識を持って活動しています。

 

マーケティング検定を導入したきっかけや導入までの流れを教えてください。

 

引地さん:マーケティング検定自体については以前から知っていて、スタッフの人材開発担当として興味を持っていました。というのも、受験者が年々増加していることから、将来的にスキルの公的な証明になるのではないかという期待があったためです。加えて、一部のクライアントの中で研修としての導入が進んでいると知り、弊社でも導入してみることになりました。

村尾さん:まずはトライアルでの導入ということで、ストラテジックプラニング職(マーケティング職)の若手から数十名を募り、Eラーニング講座の学習教材とテキスト、CBT方式(コンピュータ上で行う形式)での試験を提供しました。人材開発側からはEラーニング講座の視聴回数や進捗を専用の管理画面から確認することができるため、サポートも行いやすく便利だと感じました。

このトライアルの時は挙手制で、学習状況や受験・合格状況の公表をしても良いという社員のみが参加していたので、学習期間内に何度かEラーニング講座の視聴回数をランキング形式で公表したり、順次合格者を発表したりしました。多少ハードな施策であっても、ゲームのような感覚で切磋琢磨しながら学習・受験の促進ができたと思います。

引地さん:内容や難易度が適正だと分かったことに加えて、トライアルの受験者からも「業務へのモチベーションUPに繋がった」「自分の能力が可視化された」などと好評であったため、今年度の新入社員研修への導入を決定しました。

 

マーケティング検定を活用した新入社員研修について教えてください。

 

引地さん:クリエイティブ職、ストラテジックプラニング職、PR職としての配属が決まっている数十名を対象として、新入社員研修の最後の1週間でマーケティング検定のEラーニング講座とテキストを配布し、自由に学習を進めてもらいました。

今回は準備期間が短かったことや全員に受験が課せられていることもあり、Eラーニング講座の視聴回数などの公表は行いませんでしたが、新入社員同士で教え合いながら学習を進めるなど、課題としてだけでなく新入社員間でのコミュニケーションを促すイベントとしても良いものになったようです。

 

新入社員研修においてEラーニング講座での学習はいかがでしたか?

 

引地さん:Eラーニング講座には3~4分程の短い動画が約70本用意されています。1週間の時間を自由に使えるとはいえ、学習量はかなりボリュームがあったのではないでしょうか。そこで人材開発では学習の全体像を可視化できるように各動画の再生時間や動画の概要が確認できる学習支援シートを作成し、配布しました。

▲実際に配布した学習支援シート

村尾さん:新入社員のような若い世代は動画での学習に慣れているため、配布したシートも上手に活用しながら学習を進めていたようです。受験者の過半数が全ての動画を視聴完了しており、残りの約半数も自分の知っている部分は飛ばして分からない部分を何度も視聴するなど、自分なりの学習法を見つけて取り組んでいました。


▲Eラーニング講座の例

最終的に「動画での学習はテキストのみで学習するよりも分かりやすかった」、「知識が定着しやすかった」といった声が多く、受験者の90%以上が合格する結果となりました。

 

人材開発担当者の目線で感じた効果などはありましたか?

 

引地さん:最も大きな効果は、受験した全員が研修時点で業務に繋がる成功体験を得られたことだと思います。業務に入る前のタイミングで「マーケティング検定の学習をやり遂げた」という感覚を得たことや自分に自信が持てたことは大きな成果ではないでしょうか。

村尾さん:博報堂には「粒ぞろいよりも粒ちがい」という言葉があります。社員それぞれが豊かな個性・ユニークさを発揮しながら、同時にチームとして考えをぶつけあうことで会社も成長していくという考え方です。最終的に個々の発想力を最大限に発揮できる人材になってもらうためには、厳しい業務の現場にしっかり定着してもらうことが重要です。新人研修を終えて現場に出ていく際に自信を持って臨んでもらうための武器を得られる機会をつくりたかったのです。

引地さん:マーケティング検定を導入したことで新入社員の知識を一定レベルまで引き上げることもできたと思います。これまでマーケティングの知識は先輩社員からのOJTで業務を通じて学んでいたのですが、担当する先輩社員によっては業務領域の幅に違いがあり、OJTを受けた新入社員の基礎知識が統一されていないという課題がありました。

今回、全員が一定の基礎知識を持ったことで、さらにそれぞれの業務領域に特化した知識やノウハウを身に付け、経験を積んでいくための土台ができあがったのではないかと考えています。

 

検定の出題範囲や学習内容はいかがでしたか?

 

引地さん:幅広くマーケティングの基礎知識が網羅されている点がよかったですね。これまで、クリエイティブ職などのスタッフ部門は自分の専門分野を極めていれば業務に支障ありませんでした。しかし、近年は業務領域が広がりを見せ、デジタル広告やコンテンツ、マーケティング調査・システムなど、さまざまな施策を統合的に活用・運用していかなければなりません。どんな職種でも、マーケティングの基礎知識を持っておくことが求められるようになってきているのです。

また、これからマーケティングの世界に足を踏み入れる方ならば、一通りの基礎知識を習得できるだけでなく、変化し続けるマーケティング業界の最新情報を常に把握することに慣れておくことも大切だと思います。昨今ではクライアントのリテラシーや感度も高くなっていますが、マーケティング検定を学習・受験してクライアントとの共通言語を身に付けられれば、互いに意図を汲み取り、よりスピーディーに、高度なアクションを起こせるようになるのではないでしょうか。

村尾さん:ある程度マーケティング業界で経験を積んだ方でも、普段の業務が専門的なものに限られてしまっている場合には有効だと思います。幅広い基礎知識が得られるマーケティング検定の学習・受験によって新しい視野をプラスすることができるはずです。

 

これからの展望について教えてください。

 

引地さん:人材開発担当としては今後もマーケティング検定を有効活用したいと考えています。新入社員研修に関しては、社内で導入事例をレビューして、他部署や他の職種にも共有していきたいと思います。トライアル導入の際に実施した挙手制の学習・受験も続けていく予定です。

これまで広告業界において社員の力量を計る方法は、クリエイティブ領域を中心にした業界内のコンペティションや受賞歴などが中心でした。今後はマーケティング検定のような外部評価をうまく活用して、社員一人一人の個性を伸ばす土台を築いていきたいですし、社員が自信を持って活躍できるようサポートを続けていきたいです。 

 

引用:日本の資格検定 
Vol.2 株式会社博報堂×マーケティング検定
 
 
株式会社博報堂 コーポレートサイト:https://www.hakuhodo.co.jp/
 
社名
株式会社博報堂
代表者
代表取締役社長 水島 正幸 (みずしま まさゆき)
従業員数
3,614名(2019年4月1日現在・契約社員含む)
事業概要
ブランディング/ストラテジックプラニング/広告制作/ デジタルメディア・マルチメディア広告/プロモーション/コーポレートコミュニケーション/情報空間開発事業/商品・事業開発など。
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